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キャンドルドリーム ソラ編 第3章 5

キャンドルドリーム  ソラ編
 3章 : リガイは牢屋でチェスをする [5]


 創志が騎士を真っ直ぐリガイの陣地に進める。弓士の駒を倒して奪い、屈んだ姿勢からリガイを見上げる。リガイは自分の陣地を大胆に切り崩してくる創志の超攻撃的な打ち筋に顔をしかめながらも、兵士を進める。
「……攻撃ばかりで、守りが薄いですよ」
 リガイの言葉に耳も貸さず、創志はすぐさま同じナイトでリガイの魔法士を奪う。それに歯を噛み締めるリガイ。完全に右舷を切り崩されたリガイはなんとか王の前に槍士を配置して騎士の突撃を牽制している。
「……カード【再配置】」
 そう言ってリガイはカードを一枚捨てて、さらに騎士の前に槍士を配置して完全に騎士の動きを封じる。
「だが、これでこれ以上騎士は攻められない」
 リガイが安堵の息をついて兵士をさらに進める。
「騎士が単独で突撃するのは一つの手ですが、カバーする兵がいなければ所詮特攻。怖くもなんともありませんよ」
「その通りだな」
 創志はそう言って手札から一枚のカードを切る。そこには【敵兵の懐柔】と書かれていた。リガイの目が見開かれる。
「さっき取った魔法士を隣接箇所に再配置」
 これは配置時からカードに指定しておいた駒一つが取った相手の駒を、後に駒が隣接した場所に再配置できる超攻撃的なカードだ。問題は事前指定が必要なため、その指定した駒が活躍できない、もしくは敵に取られてしまうとカードが無駄になるというリスクがある。
「さらにもう一枚」
 創志は同じ【敵兵の懐柔】を切る。しかもそのカードに書かれていた指定駒も同じ突撃してきた一つの騎士だった。創志は騎士の背後に弓士と魔法士を再配置し、敵陣に一軍団を築き上げる。
「なっ?」
 リガイが驚愕している間に、再配置した魔法士が槍士をまとめて吹き飛ばす。一瞬にして王の警護が無くなった陣地をリガイが呆然と見下ろす。その表情を非常に楽しそうに見つめながら創志は聞いた。
「こういう時はなんと言うんだ? チェックメイト、でいいのかな?」
 リガイはその言葉に苦笑した。
「ハハハ……これは参りましたね。私ごときでは歯が立たないようです」
 正直驚きを隠せないと様子のリガイを愉快そうに見つめて創志は笑った。
「そのようだな」
「少し聞いてもよろしいですか?」
「なんだ?」
 リガイはこめかみを掻きながら口を開く。
「他のカードを、見せてもらいたいのですが」
 創志はクスッと笑って、残り三枚のカードを盤上にばらまいてリガイに見せた。そのカードの布陣にリガイはさらに驚愕することになる。なんと残り三枚も全てその騎士を指示した【敵兵の懐柔】カードだったからだ。
「なっ!? ……どうしてその騎士に全てを賭けたのですか? 取られたら終わりじゃないですか!?」
「そうだな。取られたら終わりだ」
 創志はそう言って、愉快そうに笑った。

「俺の知り合いに負けた姿を想像できない奴がいてね。……一つ、そいつを動かしている気分で編成してみたんだ」

 本当に愉快そうに笑う創志。
「不思議なものだ。ライバル同士だというのに……」
 自分には分からない次元の話をしていると感じ取ったのか、リガイは丁寧に座りなおして創志の次の言葉を黙して待った。やがて創志は今回のMVPである騎士を摘んで掌の上で転がしながら口を開いた。
「リガイ。おまえに指示をした相手と軍戯を打ちたい」
 リガイが驚愕する。質問ではなく、罪人が出したその内容に純粋に戸惑っていた。
「そ、それは……いえ、しかし……」
 創志はニヤッと悪そうな笑みを浮かべてリガイに言った。


「俺はリバルト王子と同じテーブルにつきたいと言っているんだ。向こうもそれをお望みなんだろう?」


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