スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キャンドルドリーム ソラ編 第2章 9

キャンドルドリーム  ソラ編
 2章 : クーリンは唄って笑って忙しい [9]


「人が死んじゃうって、私悲しいもん! 戦争は悲しいもん!」

 創志が目を見開く時には、ゾルバは眉間にしわを寄せて女の子を指差して怒鳴っていた。
「貴様ぁ、今のわしは子供とて容赦せんぞ! 今の言質、反戦意図とする!」 
 ゾルバはそう言って兵士たちに女の子を捕えるように指示をする。さすがにその指示に戸惑った兵士たちは女の子に近づくことをためらった。
 その隙に辺りに残っていた聴衆たちが口々に呟く。
「おい……あの子の親は何してんだ」
「今謝ればなんとかなるのに……」
 またゾルバが怒りの表情を浮かべたので、とうとう兵士の一人が耐え切れずに女の子へと手を伸ばした。
「おい……!」
 創志が割って入ろうとしたが、傍の兵士に顎の前に切っ先を突きつけられて立ち止まる。創志は剣を突きつける兵士をぎろりと睨みつける。兵士は苦心する表情で俯いた。
「早くしないか!」
「は、はぁっ!」
 兵士が慌てて女の子を捕えようとした。
 その時、その女の子を庇うように立ちはだかったのはなんとクーリンだった。クーリンは兵士を背に女の子の目の前に盾のように座り込み、泣き出しかけていた女の子を必死にあやす。
「ほら、泣いてはダメでやんすよ。言いたいこと言うのは大事でやんすが……場が悪かったでやんすね」
「ぐすっ……」
 そう言って必死に笑いかけて女の子をあやそうとする。しかしそのクーリンの姿勢に苛立ったゾルバはなんと足を上げて、クーリンの頭を蹴り飛ばした。創志の目が見開かれる。
「貴様ぁ、なんのつもりだ!」
 しかしクーリンは蹴られた痛みなどおくびにも出さず、背中のゾルバなど無視して女の子に笑いかけていた。女の子はようやく平静を取り戻して、今度はクーリンの心配をし始めたが、クーリンはただ必死に笑うばかりだ。
「ぐ、この……っ!」
 ゾルバは足を振り上げ、クーリンの背中を蹴り飛ばした。



 クーリンの背負った荷物ごと……蹴り飛ばした。



 ――――ベキッ。
 乾いた音が、皮袋の中から響いた。


前へ  目次   次へ
スポンサーサイト

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © アザカの小説と日記とあれとこれ All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。